ここまで読んでくれた読者なら、当然こう思うかもしれない
「それは管理が甘いだけだろ?」
半分正しい。
だが、問題はもっと根深い。
人は"壊したくて"遺跡を作るわけではない
むしろ真逆だ。
善意で作る。
熱量を持って作る。
未来を信じて作る。
それでも未来の遺跡は生まれる。
なぜか。
■ 作る快感 > 維持の責任
人間は、完成させた瞬間が一番気持ちいい。
公開ボタンを押す瞬間。
デプロイが通った瞬間。
エージェントが初めて自律実行した瞬間。
「動いた」
あの瞬間の高揚感は強い。
だが、維持には快感がない。
アップデート。
ログ確認。
依存チェック。
定期点検。
地味だ。
承認欲求も満たされにくい。
SNSに投稿してもバズらない。
だからどうしても、
作る熱量 > 維持の責任
に流れやすい。
これが第一の構造だ。
■ ブラックボックスバイアス
もう一つある。
"動いているものは正しい"という錯覚だ。
内部を理解していなくても、
エラーが出ていなければ安心する。
AIが応答している。
自動処理が回っている。
ログにエラーが出ていない。
それだけで「大丈夫」と思ってしまう。
だが実際は、
理解していないものは、
そもそも管理できない。
管理できないものは、
いずれ放置される。
そして放置された構造は、
時間とともに"触れないもの"になる。
ブラックボックスは便利だ。
だが、便利さは責任を薄める。
■ トレンド依存構造
もう一つ、現代特有の要素がある。
トレンドだ。
流行っている。
今やらないと乗り遅れる。
先行者利益。
ポジション取り。
この空気が強いと、
「まず作る」が優先される。
撤去設計?
運用設計?
5年後?
後回しになる。
なぜなら、
今の熱狂に水を差すからだ。
トレンドが去ると同時に、
管理熱量も消える。
残るのは、その時の雰囲気で作った構造だけだ。
■ べぃぶコーディング段階での自律化
ここでようやく冒頭の話が繋がる。
べぃぶコーディング。
構造を完全に理解していない段階で、
勢いで作る。
それ自体は悪ではない。
誰でも最初は未熟だ。
問題は、
その段階で"自律化"まで進めてしまうことだ。
理解が浅いまま、
自動化を組み、
外部連携を張り、
権限を渡し、
止め方を知らないまま公開する。
本人は完成したと思っている。
だが、
自律構造には
"止める責任"が発生する。
達成感に飲み込まれ、
その責任の想像が薄れる。
だからAncient化する。
■ 遺跡は無責任から生まれるのではない
ここは誤解してほしくない。
怠惰だから遺跡が生まれるのではない。
悪意があるからでもない。
構造的に、
人間の心理がそうなっているだけだ。
・完成の快感
・承認欲求
・トレンド圧
・ブラックボックス安心感
これらが重なると、
維持設計は後回しになる。
そして時間が経つ。
気づいたときには、
「誰も触れない構造」が残る。
それが遺跡だ。