ここからは感情ではなく、冷静に順番の話をしよう
心理は理解した。心の動きは整理した。
なぜ人は遺跡を作るのかも見えてきた。
だが――
一番肝心な部分はここだ。
■ 技術というものは、必ず段階を踏む
Ancient Engineering が生まれる根本は単純だ。
順番をすっ飛ばすからだ。
本来の流れはこうだ
べぃぶ段階
(出来ること・動かせることが楽しい。つい人に見せたくなる)
構造理解
(なぜ動くのかを知る。どこがどう動くのかを知る)
運用経験
(壊れる経験。不具合、バグ、思い通りにいかない現実)
バイブ段階
(設計思想を持つ。構造の表裏を理解する)
そして Agent 自律化
(任せる。ただし"止める前提"で)
だが今は違う
べぃぶ
いきなり Agent
これが一番危険だ。想像つくだろ…。
■ べぃぶは悪ではない
まず誤解するな。
べぃぶ段階は必ず必要だ。
触って覚える。
失敗する。
壊す。
焦る。
ここを通らずして構造理解は育たない。
子育て経験ある読者ならわかるだろ。
問題は――
その段階で自律化を始めることだ。
■ 壊した経験がない構造は、止め方を知らない
ここが核心だ。
痛い目を見たことがない。
そこを想定できない。
それが一番危険で厄介だ。
Agent は動く。
自動実行する。
API を叩く。
データを連携する。
だが、
ログの見方を知らない
依存関係を理解していない
接続構造を把握していない
停止手順を設計していない
この状態で自律化すると何が起こるか。
壊れたとき、止められない。
そして――
止められないものは、必ず放置される。
単純だろ?
段階を踏んでなきゃ想定すら出来ない。
■ 「止める責任」という概念
作る責任よりも重いのが、止める責任だ。
システムは必ず劣化する。
API は変わる。
仕様は更新される。
鍵は漏れる。
人はいなくなる。
それが世の常だろ。
人の時間は有限だ。
そのとき、
誰が止める?
どこを切る?
どう撤去する?
これを設計していない自律化は、
構造的に Ancient 化へ向かう。
■ 宮大工思想との接続
宮大工は派手な建築をしない。
だが、
解体できる
修繕できる
交換できる
世代を跨げる
この思想がある。
それだけ厳しい世界で、責任感と永続性を持ち続ける尊い職種だ。
Agent を作るなとは言わない。
だが、
止め方を設計してから作れ
依存構造を可視化しろ
ログを読める状態にしておけ
撤去工程を先に描け
順番は守れ。
■ 自律化は"最後"に置くもの
バイブ段階を経て初めて、
過去の失敗が資産になる
壊れ方のパターンを知る
依存地雷が見える
「触るな」が分かる
そこで初めて任せる。
それが健全な順序だ。
■ Ancient Engineering が生まれる瞬間
順番を飛ばす
+
止める責任不在
+
放置
これが揃ったとき、
最先端は遺跡になる。
しかも早い。
驚くほど早い。
この変化と進化の早い時代に、
本当に責任対応できるのか?
それだけは問いたい。
■ 次へ
問題はまだ終わらない。
壊れるだけならまだいい。
残るからだ。
消えないからだ。
それが次の話――
デジタル放射性廃棄物だ。
ちょいと怖くなるぜ…。